リヴリーアイランドで遊んでいると度々「学名」という単語を目にすることがあると思います。
今回はその「学名」とは何なのか、という解説です。
そもそも学名とは?
学名は、その生物を指し示すための世界共通の名前です。
例えば猫であれば、「ねこ」「cat」「Katze」とみんなが好き勝手な言語で喋ってしまうと、何の生き物なのか分からなくなってしまいます。
現実問題、猫程度なら何とかなりそうですが、現実世界にはもっとマイナーな生き物や似たような生き物がたくさん存在するのです。
「スベスベマンジュウガニ」とか「トゲアリトゲナシトゲトゲ」とか、外国の方に伝えるのはちょっと大変です。
そこで、「この呼び方で統一しましょう」と考えられたのが学名です。
学名は全てラテン語で名付けるというルールがあります。
これはその昔、世界の共通語がラテン語であったことに由来します。
今でいう英語みたいなポジションです。
ただし、バチカン市国はイタリアに囲まれているため、会話など日常生活ではイタリア語が多く使用されています。
国の公文書等でのみ、ラテン語が使われているようです。
学名の生みの親
学名は、生物分類学の父といわれるカール・フォン・リンネが考えました。
経済学の父はアダム・スミス、細菌学の父はパスツール、音楽の父はバッハ、交響曲の父はハイドン、看護学と統計学の母はナイチンゲールと言われますが、
生物分類学においてはこのカール・フォン・リンネが父と言われています。
ちょうどリヴリーでいうところの、ローレン・コール・ミュラー(ミュラー博士)のような存在ですね。
学名のルール
学名には、以下のルールが存在します。
- 「属名 種小名」という書き方をする
- 言語はラテン語を使う
- 学名を書くときは斜体(ナナメ文字)で書く
- 先頭を大文字で書く
※本当はもっと細かいルールが色々と存在しますが、ここでは割愛します
※菌界・植物界・動物界では細かいルールが微妙に異なります。リヴリーは動物のため、動物界の学名のつけ方に準拠し説明します
それでは、早速リヴリーに当てはめて見てみましょう。
リヴリーの学名
ワタメ(クラシックリヴリー)の学名は「xylinum candidus」と言います。
(※二名法のルールに則すると「Xylinum candidus」です)
学名は「属名 種小名」で表記されますので、ワタメは
属名が「xylinum」(綿)
種名が「candidus」(白)
となります。
リヴリーはかつて「寵物島」という名前で台湾版のサービスを展開していたことがありますが、台湾の方に「ワタメ」と言っても通じなくても「xylinum candidus」と言えば(学名を覚えている人であれば)必ず通じます。
ちなみに、クラシックリヴリーの学名は斜体で表記されず先頭の文字も小文字でしたが(そのため上記の学名の表記もそちらへ合わせています)、
新リヴリーでの学名は斜体で表記され、先頭の文字も大文字に直されています。
これは、きちんと二名法のルールに則するためと思われます(新リヴリーアイランドの研究員さんに、生物分類学に造詣の深い方がいらっしゃるのかもしれません)。
※そもそも、クラシックリヴリーの学名は生物分類学に明るくないミュラー博士が適当につけていると明言されています。可愛いのでOKです。
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▲向かって左側がクラシックリヴリーの学名表記で、右側が新リヴリーの学名表記です。
クラシックリヴリーの学名は先頭が小文字で斜体(ナナメ文字)になっていないのに対し、新リヴリーの学名は先頭が大文字にされ、斜体で表記されています。
これは二名法に則するための変更と思われます。
※画像はクリックまたはタップで拡大します
同属という考え方
一般的に、学名の最初の単語が同じ生物は「同属」とされています。
これは学名が「属名 種小名」の順に表されるためです。
リヴリーの学名を見てみると、
- ワタメ(xylinum candidus)
- オオツノワタケ(xylinum corniger)
- キャンディスノー(xylinum salire)
となっており、これら3種は「同属」ということが分かります。
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「xylinum」は「綿」という意味なので「綿属」という括りでしょうか。
確かに、どの種もふわふわとしていて綿っぽいところが共通で似ていますね。
学名が3単語からなる場合
犬(一般的に多くの過程で飼育されている犬)の学名は、Canis lupus familiarisといいます。
(カニス・ルプス・ファミリアリスと読みます)
さっき「学名は『属名 種小名』」だと言ったのに、なんで3単語あるの?と思われるかもしれませんが、
学名が3単語ある場合は「属名 種小名 亜種名」というように解釈します。
実質的に二名法ではなく三名法のようになりますが、これも学名のつけ方のルールです。
リヴリーの学名が3単語の場合
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ミミマキムクネとキスミミマキムクネについて考えてみます。
ミミマキムクネの学名は「auris helice」
キスミミマキムクネの学名は「kiss auris helice」
と言います。
学名が3単語の場合は「属名 種小名 亜種名」の準備並べなくてはなりません。
上記より、キスミミマキムクネはその形態からミミマキムクネの亜種と考えられるため、
「kiss auris helice」ではなく「auris helice kiss」という学名が正しいです。
※ただし、リヴリーの学名は生物分類学に明るくないミュラー博士が適当につけているそうなので、必ずしも現実の規則にあてはまるものではないと思います。決して批判しているわけではありません。可愛いのでOKです。
ハナパキケ
次にハナパキケについて考えてみます。
ハナパキケの公式の紹介文は以下です。
開いたスカート状の毛が特徴的なリヴリー。
花や香草などを体にこすりつけて独自の匂いをつけ、個体同士を認識する。
やや縄張り意識が強く、角を振って威嚇することがある。
パキケの亜種。
ハナパキケの学名は「Puella floreus mono」で、パキケの学名は「Puella corniger mono」です。
これも間違いで、ハナパキケをパキケの亜種と定義したい場合学名は「Puella corniger xxxxx」としなければなりません。
キスミミマキムクネの話と同様、学名は「属名 種小名 亜種小名」の順で並んでいます(亜種小名は無い場合もあります)。
「亜種」と定義したいなら、模式亜種に対し属名と種小名を同じにする必要があります。
または、学名はそのままで「パキケの近縁種」と表現するのが正しいです。
※ただし、リヴリーの学名は生物分類学に明るくないミュラー博士が(以下同文)
正直独学でも生物学者名乗るなら二名法くらい勉強してほしいですけどね
実際の学名 いろいろ
折角なので、最後にリヴリーではなく現実世界の生き物の学名について見てみましょう。
学名が通称名になっている
「Underwoodisaurus milii」は、そのまま「アンダーウッディサウルスミリィ」と呼ばれています。
あまり聞きなれない言葉だと思いますが、トカゲやヤモリなどの爬虫類を好んで飼育する人であれば大体知っています。
長いので「ミリィ」と略される場合もありますが、大体アンダーウッディサウルスミリィと、学名そのままで呼ばれています。
和名は「ナキツギオヤモリ」と言いますが、こちらで呼ぶ人はあまり多くなく、「アンダーウッディサウルスミリィ」とか「アンダーウッディサウルスミリー」とか呼ぶ人が大半です。
※画像はヤモリのものですが、実際には背中に夜空のような模様が描かれており非常に美しい種です。
変な学名
ヨツコブツノゼミの学名は「Bocydium tintinnabuliferum」(ボッキディウム・チンチンナブリフェルム)です。
学名はラテン語ですから、そんな学名も存在します。
(ちなみに、分かりやすくするために所々に画像を入れるようにしていましたが、本種の画像を検索したらいらすと屋で見つかりました。
ツノゼミのイラストがこれしかなかった(2021年8月現在)ので、確実に狙っているものと思われます)
まとめ
- 生き物の世界共通の名前のことを「学名」という
- 学名のつけ方は二名法というルールがあって、リンネって人が考えた
- 「属名 種小名」 のルールで、ラテン語でつけられる
これだけ覚えて帰ってもらえれば100点満点です。